「一杯飯」という言葉をご存知だろうか。仏前に供える飯のことで、よそう際に1回で盛られる飯のことだ。「一膳飯」ともいうようだ。私の家では小さいころから飯をよそう際は2回に分けて盛るように言われてきた。1回でよそう飯は仏様に供える飯だけであるとい聞いてきた。そのため私は飯を盛る際は必ず2回に分けている。
私の学校にある学食では、白い飯を頼むと3回に1回は茶碗に飯が1回でよそわれる。1回でよそわれた茶碗の飯を出されると、私は死んだ人へ供える飯を出されているように思ってしまい嫌な感じである。
その1回で飯をよそって出すのが、貫禄ある中高年のおばさんであるのだからさらに驚いてしまう。あるとき、1回でよそわれた飯を出されたときに私が「2回でよそって」と頼んだところ、おばさんは困ったような顔をして考えてしまった。この世代の人であっても、一杯飯を気にしない人もいるのだと思った。
食堂にあるコメントカードに、「飯は2回でよそってほしい。1回でよそう飯は死んだ人に出す飯である。」という旨のコメントを出したところ、「人の多いときは時間を短縮するために1回でよそうことにしているので容赦してほしい」との返答が来た。ただ、実際に私の前後に人のいないすいている時であっても、よく飯を1回でよそって渡されるケースを見ると、残念に思う。
もちろん、1回で盛られた飯が体によくないということはなく、それを食べたからといって死ぬこともない。何百人と来る客を素早く裁くために飯を1回で盛って渡すのは合理的であると思う。おばさんには何ら悪気はないだろうが、飯が1回で盛られるのを見るとあまりよい気分はしない。「仏様でもあるまいに一膳飯とは情けなや」

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