今日は学会の講演を聴くため、摂津市にある大手化学メーカー工場内の研究施設に行ってきた。高分子化学に関連する機能性材料について各メーカーの技術者から話を聴いた。講演の後はその研究施設を少しだけ見せてもらった。
実験室を見て回り、大学の実験室にあるような実験装置が数多くあったこと、そして実験室がとても明るく綺麗であったことに驚いた。うちの工学部化学系の建物に1台か2台ほどしかおいていないような核磁気共鳴装置、透過型電子顕微鏡が数台も置かれていた。また大学の実験室と違い、化学薬品を扱っている実験室でも床、壁などの黄ばみがなかった。まさにテレビで見ていた食品企業あるいは化粧企業などの研究室と同じであり綺麗であった。
企業で化学の研究をする職に就けば、大学、大学院の卒業後もこのような研究設備のあるところで実験を続けて行くことができて面白そうだと思った。ただ、このような部署で働くことになれば、また今の研究室と同じように男ばかりで華のない仕事環境がずっと続いて行くことになり、つまらなそうだとも感じた。見学していて気になったことは、研究部門で働く作業着を着た人を20人ぐらい見かけたうち、女の人は1人だけであったことだ。まるで女人禁制の場所にいたかのようであった。
欧米では女性の研究者が全体の半分近くいて、それに対し日本では1割ほどしかいないと言うことを聞く。私のいる工学部化学系でも教授、准教授、実験講師すべてが男性であり学生の8割が男子学生だ。この会社のこの研究施設でもやはり男性が非常に多い。男女共同参画が唱えられて久しいが、まだまだ化学の分野に多くの女の人が入る状況にはいたっていないことは非常によく実感できる。
以前、テレビ東京系列の「カンブリア宮殿」という番組で、研究者が女性ばかりである「ヱビナ電化工業」という会社が「女だらけのめっき工場 最先端技術を生み出す女性技術者集団」というタイトルで紹介されていた。(1) (2) (3)めっきは電気化学の分野なので、まさに私のいるような化学系出身の女の人が集まっているのだと思う。その会社では人を採用する際に同じ条件の男女がいた場合、女性の方を採用するという。社長の話によると、女性の方が器用であり仕事に向いているからだという。そのため女性の研究者ばかり採用するそうだ。
このような会社があるのであるから、他の化学系の会社も同じように女性を採用できるはずであると私は思ってしまう。研究の仕事に就いている女性が少ないのは、女性の採用を「しない」、「したくない」、あるいは「できない」何らかの事情があるのではないかと勘繰ってしまう。もちろん、研究職を志望する女性の少ないことが研究に携わる女性の少ない大きな原因かもしれないが。
大学でも企業でも化学の部門が女性と疎遠である現状はとても残念に思う。もし私が大学院の卒業後にこのような研究所で働くことになれば、働く士気を持って行けるかどうかがわからない。職場に大学院卒のまじめで少し暗い男ばかりがいて華がなく、さらに勤務先が丸の内のようなにぎやかな場所ではなく遊んだり飲んだりする所もない非常に辺鄙な場所の工場、研究所となれば、働いて行く士気が持てなくなるだろう。考えすぎかもしれないが、あながち間違いでもないだろう。今日の講演を聞いてこのようなことを思ってしまい複雑な心境である。
参照
(1) http://dogatch.jp/blog/news/tx/0924087000.html
(2) http://yagikeieioffice.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-2f9b.html
(3) http://ameblo.jp/kigyoukeiei/entry-10327836658.html

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